2=1 〜 優しくつながる二世帯住宅 〜
所 在:埼玉県鶴ヶ島市
構 造:木造2階建
主要用途:専用住宅
工事種別:新築
延床面積:149.88㎡
竣 工:2023年1月
近くに公園もある落ち着く空気感の住宅地。
「実家の建替を考えており、家族の意見を形にするにはハウスメーカーではなく
設計事務所なのかなと、自分達に合った設計士を探している」とのご相談から、
打ち合わせを重ねてきた木の家づくり。
ご要望を整理し、
可能性をご提案しつつ、
優先度の確認、
ほしいもの、
あとでいいもの、
ライフスタイルのイメージ、
生活時間の整理・把握、
家族間の心理的な配慮、
インテリアのイメージ、
温熱環境のシミュレーション、
近隣環境の読み取り、
視線・見下ろし、
日照・日陰、
物理的・心理的アプローチの配慮、
生活の動きや時間をイメージしながら
暮らしの風景を共有してきた家づくり。
敷地は北と西の二方向に接道し、
東と南は2階建住宅、南東角は3階建住宅に囲まれ、
午前中の日陰、日照を得られるかが懸念でした。
隣家を見渡すと、引き違い窓が多く、
見る見られることへの配慮も、住空間にはとても大事。
目隠し用の板塀やシェードの提案をしつつ、
全体コストとの調整をとりながら最善に寄り添ってきました。
南側は隣家の影の影響があり、
隣棟間隔を確保すること、
日照を得やすい窓配置の検討と軒の出の調整、
将来、南側隣家が3階建に建替なんてことになったとしても、
吹抜からの採光を確保できるような計画、
その他、プランニングの際、
自分がどこに居て、
そこから見える内外環境、
レイアウトでできる配慮など、
そのイメージの共有を大切に進めてきました。
二世帯住宅の特徴に、
玄関別々のタイプもあれば、共用タイプもあり、
リビングは共用、それとも別々、水回りはどう?等々、
家族構成、敷地条件、ご予算等によって、
出来ること、出来ないこと様々です。
そこで本住宅は、玄関のみ共用のタイプとなりました。
1階が親世帯、2階が子世帯。
どちらの親と同居なのかによっても、
プランニングって変わってきます。
細かな(心理的な)ことにもアンテナ張りながら、
ヒアリングとプランニング。
一般的な冷暖房設備といえば、代表格のエアコン。
エアコンの気流が体に合わない、とのご相談。
暖房熱源を各世帯に設ける方法も可能性のひとつですが、
その分の設備コストUPとランニングコストを考慮した時、
暖房は共用部分に熱源を置き、
その熱を分かち合う二世帯があってもいい。
共用の玄関土間にペレットストーブを設置し、
天井扇とストーブのファンによる対流。
環境に優しいペレットストーブによる暖の共用。
上下階の暮らし方でコントロールです。
各世帯に分けることも、ゆるくつながることも、
その時その時で可変できる暮らし、
優しくつながる二世帯住宅。
二世帯住宅の課題のひとつに生活時間帯の違いがあります。
早寝早起き?夜は遅くまで起きてる家庭?
親世帯、子世帯でどんな違いがある?
子供のイベント(ex.受験期)、仕事の出勤・帰宅時間など、
生活のリズムを大事にしたプランニング。
各世帯(上下階)でどのような空間構成とするべきか。
似たような空間なのか、違うタイプの空間なのか。
同じつくりだと使い勝手も慣れたもの。
メンテ更新という観点からの将来性、
つくり方によって建築費にも大きな影響を生じます。
将来を考えた計画としながらも固執しすぎず、
その時にならないとはっきりしないことも暮らしと受け止め、
だからこそバランス、そこに私の役割があるものと。
良きパートナーでありたいと。
個性を共有すべきな家づくり。
ひとつひとつの風景が大切な暮らし。