■ 概要


2=1 〜 優しくつながる二世帯住宅 

所  在:埼玉県鶴ヶ島市

構  造:木造2階建

主要用途:専用住宅

工事種別:新築

延床面積:149.88㎡

竣  工:2023年1月

 

近くに公園もある落ち着く空気感の住宅地。

 

「実家の建替を考えており、家族の意見を形にするにはハウスメーカーではなく

設計事務所なのかなと、自分達に合った設計士を探している」とのご相談から、

打ち合わせを重ねてきた木の家づくり。

 

ご要望を整理し、

可能性をご提案しつつ、

優先度の確認、

ほしいもの、

あとでいいもの、

ライフスタイルのイメージ、

生活時間の整理・把握、

家族間の心理的な配慮、

インテリアのイメージ、

温熱環境のシミュレーション、

近隣環境の読み取り、

視線・見下ろし、

日照・日陰、

物理的・心理的アプローチの配慮、

生活の動きや時間をイメージしながら

暮らしの風景を共有してきた家づくり。


■ 敷地・近隣環境・全体計画


 

敷地は北と西の二方向に接道し、

東と南は2階建住宅、南東角は3階建住宅に囲まれ、

午前中の日陰、日照を得られるかが懸念でした。

隣家を見渡すと、引き違い窓が多く、

見る見られることへの配慮も、住空間にはとても大事。

目隠し用の板塀やシェードの提案をしつつ、

全体コストとの調整をとりながら最善に寄り添ってきました。

 

南側は隣家の影の影響があり、

隣棟間隔を確保すること、

日照を得やすい窓配置の検討と軒の出の調整、

将来、南側隣家が3階建に建替なんてことになったとしても、

吹抜からの採光を確保できるような計画、

その他、プランニングの際、

自分がどこに居て、

そこから見える内外環境、

レイアウトでできる配慮など、

そのイメージの共有を大切に進めてきました。

■ 二世帯のカタチ


 

二世帯住宅の特徴に、

玄関別々のタイプもあれば、共用タイプもあり、

リビングは共用、それとも別々、水回りはどう?等々、

家族構成、敷地条件、ご予算等によって、

出来ること、出来ないこと様々です。

 

そこで本住宅は、玄関のみ共用のタイプとなりました。

1階が親世帯、2階が子世帯。

 

どちらの親と同居なのかによっても、

プランニングって変わってきます。

 

細かな(心理的な)ことにもアンテナ張りながら、

ヒアリングとプランニング。


■ 優しくつながる二世帯


 

一般的な冷暖房設備といえば、代表格のエアコン。

エアコンの気流が体に合わない、とのご相談。

 

暖房熱源を各世帯に設ける方法も可能性のひとつですが、

その分の設備コストUPとランニングコストを考慮した時、

暖房は共用部分に熱源を置き、

その熱を分かち合う二世帯があってもいい。

 

共用の玄関土間にペレットストーブを設置し、

天井扇とストーブのファンによる対流。

環境に優しいペレットストーブによる暖の共用。

 

上下階の暮らし方でコントロールです。

各世帯に分けることも、ゆるくつながることも、

その時その時で可変できる暮らし、

優しくつながる二世帯住宅。

■ 生活のリズム


 

二世帯住宅の課題のひとつに生活時間帯の違いがあります。

早寝早起き?夜は遅くまで起きてる家庭?

親世帯、子世帯でどんな違いがある?

子供のイベント(ex.受験期)、仕事の出勤・帰宅時間など、

生活のリズムを大事にしたプランニング。

■ 使い勝手・将来性


 

各世帯(上下階)でどのような空間構成とするべきか。

似たような空間なのか、違うタイプの空間なのか。

同じつくりだと使い勝手も慣れたもの。

メンテ更新という観点からの将来性、

つくり方によって建築費にも大きな影響を生じます。

 

将来を考えた計画としながらも固執しすぎず、

その時にならないとはっきりしないことも暮らしと受け止め、

だからこそバランス、そこに私の役割があるものと。

良きパートナーでありたいと。

 

個性を共有すべきな家づくり。

ひとつひとつの風景が大切な暮らし。