ちいさな木のオフィス/3=rising

所  在:埼玉県所沢市西狭山ヶ丘

構  造:木造2階建

主要用途:事務所併用住宅

工事種別:増築

延床面積: 47.14㎡ (増築部分)

 

竣  工:2015年10月

Blog/3=rising


変則的な敷地に建つ母屋をそのまま残しつつ、自社の事務所を造りたいとスタートしたプロジェクト。第一種低層住居専用地域内のため、事務所の規模は、延べ面積の1/2以上を居住スペースとし、かつ、50㎡以下として兼ねることが求められ、あくまでも兼用住宅であり、別棟として事務所を造ることは認められないという法的な条件をクリアする必要がある計画。事務所を建てる敷地スペースは、三角形に近い台形地。とてもシビアな設計条件が重なりました。敷地調査の際も、本当に建つのかどうか、そんな印象を持つ敷地の大きさと形状でした。事務所というのは、施主であり施工者でもある工務店の事務所。
そこで、事務所事務所したものを造るのではなく、事務的作業が出来るだけではなく、お客さまとの打ち合わせも可能な、スタイリッシュなオフィスとして造ることをコンセプトとしました。インテリアもカフェのような感じ、ソファーが置けて開放的な空間づくりを大切にした木のオフィスづくり。

母屋は、鉄骨の型式認定(ハウスメーカーの規格住宅)のため、躯体をいじることは認定外になる恐れが伴いそれは避け、一見すると、戸建てに見えますが、母屋にエキスパンションジョイントで木造の2階建てを増築しています。増築床面積47.14㎡(14.25坪)の小さな木のオフィスです。
道路境界線に出来る限り寄せたこともあり、大きな開口部を設けることは住宅街のため、視線を気にしながらの打ち合わせはお客さま目線では合わないと考え、気配は感じるものの開口部デザインには気をつけました。見せたいところと見てほしくないところと。全体のボリューム計画は、アプローチ部分とミーティング兼事務部分と水廻りの3要素。その3要素を一直線に繋げ、玄関を入るとスリット階段が出迎え、その軸線上に階段を見上げると空が目に入ります。会社としてますます上昇していくことを意図してみました。3=risingなのです。
また、
コンセプトの一つにサンプルという仕上げがあちこちにあること。マイホームを求めてくるお客さまとの打ち合わせ中、目に入るものがサンプル(仕上げ)だったらリアリティがある。その目に見えるサンプルは、自然素材でいっぱいです。杉の構造材。杉の床フローリング。ヒノキの天井。大谷石の床。モザイクタイルのカウンター。埼玉県小川町産の手漉き和紙を貼った造り付け家具と行灯照明。左官職人による原料にこだわった石灰モルタルと石灰クリームの壁。大磯の砂利を使った玄関土間の洗い出し。土と石灰、モルタル、砂利、ベンガラを使った版築壁。広葉樹もいっぱいです。カエデ、さくら、くるみ、トチ、ブナ、タモ。針葉樹と広葉樹の混交林は、オフィスの中に森があるような。アイアン作家による階段手摺、吹抜けの手摺、玄関扉に付けた表札サイン。
カフェのような空間の中で、マイホームの打ち合わせができ、たくさんのサンプルを見て、手に触れ、経年変化もわかること。ゆっくりゆったりとお話ができる空間ができました。
ここは、オフィスです。内覧見学をご希望の方、いつでもご連絡ください。ご案内いたします。